まずNISA制度は2024年から生まれ変わり「新NISA」になります。現行のつみたてNISAや一般NISAは2023年末で終了する予定です。
NISA制度の移行で大きく変化するにあたり、既に現行NISAをやっている方の中には、新NISAへの移行で変わる点や現行NISAの資産や口座について不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、以下の内容について解説していきます。
- 新NISAで変わる5つのポイント
- 現行NISAから新NISAへ移行する時にやるべきこと
- 新NISAに移行するときの注意点
「新NISAへの移行で変わる点」について、新旧NISAの比較表とポイントにまとめました。詳しくは本文でも解説していますが、合わせてご覧ください。
▼現行NISAと新NISAの比較表▼
現行NISA | 新NISA | ||||
つみたて NISA | 一般 NISA | つみたて 投資枠 | 成長 投資枠 | ||
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 | |||
制度の実施期間 | 2042年まで ※新規買付は 2023年まで | 2023年まで | 2024年から恒久化 | ||
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 | 無期限 | ||
制度の併用 | 不可 | 可能 | |||
年間 非課税枠 | 合計枠 | ー | 360万円 | ||
各枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 | |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円 └うち成長投資枠1,200万円 ※資産を売却した場合、取得価額分の非課税保有限度額が翌年復活する | ||
買付方法 | 積立 | 積立・一括※1 | 積立 | 積立・一括 | |
投資対象商品 | 投資信託※2 | 上場株式・ 投資信託・ ETF・REIT | 投資信託※3 | 上場株式・ 投資信託など ※4 | |
ロールオーバー (移管) | ー | 可能 | 不要 | ||
2023年末までに現行NISA(つみたて・一般)で投資した商品は、新NISAの外枠で現在のNISA非課税措置が適用される。 |
※1 積立「定期的に一定金額で購入する方法」一括「一度のタイミング・まとまった金額で購入する方法」
※2 長期・積立・分散投資に適した一定のもの
※3 積立・分散投資に適した一定の投資信託。つみたてNISAの商品と同様
※4 ①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投資信託等を除外
▼新NISAのポイント▼
- NISA制度の恒久化
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
- 年間非課税枠が360万円に引き上げ
- 非課税保有期間が無期限
- 非課税保有限度額が1,800万円(売却すると非課税保有限度額が復活する)
新NISAで変わる5つのポイント
2024年1月からNISA制度は新NISAへと変わります。まずは、現行のつみたてNISA・一般NISAと新NISAではどのような点が変わったのか、以下の表にまとめました。
▼現行NISAと新NISAの比較表▼
現行NISA | 新NISA | ||||
つみたて NISA | 一般 NISA | つみたて 投資枠 | 成長 投資枠 | ||
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 | |||
制度の実施期間 | 2042年まで ※新規買付は 2023年まで | 2023年まで | 2024年から恒久化 | ||
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 | 無期限 | ||
制度の併用 | 不可 | 可能 | |||
年間 非課税枠 | 合計枠 | ー | 360万円 | ||
各枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 | |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円 └うち成長投資枠1,200万円 ※資産を売却した場合、取得価額分の非課税保有限度額が翌年復活する | ||
買付方法 | 積立 | 積立・一括※1 | 積立 | 積立・一括 | |
投資対象商品 | 投資信託※2 | 上場株式・ 投資信託・ ETF・REIT | 投資信託※3 | 上場株式・ 投資信託など ※4 | |
ロールオーバー (移管) | ー | 可能 | 不要 | ||
2023年末までに現行NISA(つみたて・一般)で投資した商品は、新NISAの外枠で現在のNISA非課税措置が適用される。 |
※1 積立「定期的に一定金額で購入する方法」一括「一度のタイミング・まとまった金額で購入する方法」
※2 長期・積立・分散投資に適した一定のもの
※3 積立・分散投資に適した一定の投資信託。つみたてNISAの商品と同様
※4 ①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投資信託等を除外
そして現行のNISAから新NISAへの変更点の中でも、特にパワーアップしたポイントは以下5つです。
新NISAのポイント
- NISA制度の恒久化
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
- 年間非課税枠が360万円に引き上げ
- 非課税保有期間が無期限
- 非課税保有限度額が1,800万円(売却すると非課税保有限度額が復活する)
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
NISA制度の恒久化
新NISAは、つみたNISAや一般NISAのように「〜年まで」という実施期間がなくなり恒久化となりました。
実施期間がなくなり恒久化になったことで、開始・終了時期を気にせず、長期的な視点で柔軟にNISAでの資産形成が可能になりました。
ただし開始・終了時期を気にしなくて良いからと言って、なんとなくNISAでの資産形成を始めることはしないでください。「自分がいつまでにいくら必要なのか」ということは考えましょう。
「子供の教育資金のために5年後までにいくら必要」「自分の老後資金のために60歳までにいくら必要」というように、ご自身の資金計画に合わせて新NISAを始めることで、より効果的な制度になります。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠の併用が可能です。
つみたてNISAと一般NISAでは、併用することはできませんでした。
つみたて投資枠と成長投資枠を併用することで、非課税枠を拡大して投資をすることができます。
年間非課税枠が360万円に引き上げ
新NISAの年間非課税枠は360万円になりました。
現行NISAの年間非課税枠を見ていただくと(以下参照ください)、金額が大きく引き上げられたことが分かります。
- つみたてNISA:40万円
- 一般NISA:120万円
前文でお話した投資枠の併用と同様に、年間非課税枠が360万円に引き上げられたことで、拡大された非課税枠での投資ができるようになりました。
ただし年間非課税枠360万円は、つみたて投資枠と成長投資枠の合計枠です。それぞれの年間非課税枠は以下です。
- つみたて投資枠:120万円
- 成長投資枠:240万円
→合計年間非課税枠360万円
非課税保有期間が無期限
新NISAでは、非課税保有期間が無期限になりました。非課税枠内で買付した金融商品は、無期限で非課税のまま保有し続けることができます。
現行のつみたてNISA・一般NISAでは、非課税保有期間が定められていました(以下参照ください)。
- つみたてNISA:20年間
- 一般NISA:5年間
また非課税保有期間が無期限になったことで、一般NISAで必要だった「ロールオーバーの手続き」が不要になります。
NISAにおけるロールオーバーとは
非課税保有期間が終了した際に、保有している金融商品を翌年の新たな非課税枠に移管(移行)すること。
非課税保有限度額は1,800万円(売却すると非課税保有限度額が復活する)
新NISAでは、非課税保有限度額が1,800万円になりました。生涯を通して1,800万円までは、NISA口座内で金融商品を非課税で保有することが可能です。
ただし1800万円というのは、つみたて投資枠と成長投資枠の合計限度額です。成長投資枠の限度額は1,200万円となっています。
非課税保有限度額 | 1,800万円 |
└うち成長投資枠1,200万円 |
成長投資枠の限度額1,200万円は、あくまで成長投資枠の限度額です。成長投資枠の限度額を含めた1,800万円をつみたて投資枠で使い切ることも可能です。
買付した商品を売却すると、買付にかかった金額(取得価額)分の非課税保有限度額が翌年復活する。
買付した商品を売却すると、買付にかかった金額分の非課税保有限度額が売却した翌年に復活します。100万円分の商品を買付して非課税保有限度額が1,700万円の場合、商品を売却することで、売却した翌年の非課税保有限度額が取得価額分の100万復活して1,800万円に戻ります。
「年内に売却して非課税保有限度額が復活したらまた買付する」というような短期売買はできないので注意しましょう。
※新NISAの投資対象商品「上場株式・投資信託」は、①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、高レバレッジ型および毎月分配型の投資信託などは除外されます。
現行NISAから新NISAへ移行する時にやるべきこと
現行のつみたてNISAや一般NISAを既にされている方の中には、新NISAへの移行にあたりどのような手続きをすれば良いのか、不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そして不安に思われている手続きとして「NISA口座をどうすれば良いのか」「NISA口座にある資産はどうなるのか」という点が大きいのではないでしょうか。
結論、NISA口座と資産については金融機関の変更有無によって異なります。以下をご覧ください。
- 金融機関の変更をしない場合:NISA口座は自動的に移行・所有している資産は現行のまま運用が可能
- 金融機関の変更をする場合:新たなNISA口座の手続きが必要・所有している資産は移行できない
詳しく見てみましょう。
金融機関の変更をしない場合、NISA口座は自動的に移行
金融機関の変更をしない場合、現行のNISA口座は2024年から自動的に新NISA口座になる予定です。正式な発表はまだありませんが、おそらく新NISAに切り替わる際、お使いの金融機関からお知らせがあるはずです。
そして現行のNISAで所有している資産は、新NISA開始後も新NISAとは別の非課税枠で現行のまま運用を続けることが可能です。
金融機関の変更をする場合、NISA口座の手続きが必要
金融機関の変更をする場合、新たなNISA口座の手続きが必要になります。変更前と変更後の金融機関それぞれへの手続きが必要になるので、詳しくはお使いの機関にご確認ください。
そして現行のNISAで所有している資産は、変更後の金融機関に移行できません。変更前の金融機関で運用を続けることは可能です。金融機関の変更については、資産の移行ができないという点を把握した上で検討してみてください。
新NISAに移行するときの2つの注意点
前章では現行NISAから新NISAに移行する時の手続きについてお話しましたが、この章では新NISAに移行する時の注意点についてお話していきます。
移行する時の注意点は以下2つです。
- 現行NISAの資産は売却せずに持ち続ける
- 非課税で投資できる金額が上がったからといって、ムリに投資をしない
現行NISAの資産は売却せずに持ち続ける
現行のつみたてNISA・一般NISAの資産は、売却せず持ち続けるのが良いでしょう。現行NISAの資産は、新NISA開始後も新NISAとは別の非課税枠で現行のまま運用を続けることが可能です。
またNISAは長期運用することでリターンを見込める金融商品なので、持ち続けた方が資産を増やせる可能性が高くなります。以下のデータにあるように、持ち続けて長期運用することで元本割れのリスクも効果が高まります。
非課税で投資できる金額が上がったからといって、ムリに投資をしない
新NISAでは非課税で投資できる金額がぐんと上がりましたが、余剰資金で投資することが大切です。余剰資金で投資することは、NISAに限らず投資全般を行う上での鉄則です。
余剰資金 = 貯金 −(生活防衛資金+近い将来に使う資金)
※生活防衛資金:貯金から不測の事態や万が一の時に備えておくお金のこと
もし余剰資金ではなく生活費で投資をした場合、生活に支障が出てしまう可能性があります。
非課税で投資できる金額が上がったからといって、非課税枠をできるだけ使い切ろうと無理をして投資をしないでください。新NISAで投資をする際は、ご自身の余剰資金の範囲内で活用してみてください。
まとめ
・NISA制度の恒久化
・つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
・年間投資枠が360万円に引き上げ
・非課税保有期間が無期限
・非課税保有限度額が1,800万円(売却すると非課税保有限度額が復活する)
▼現行NISAと新NISAの比較表▼
現行NISA | 新NISA | ||||
つみたて NISA | 一般 NISA | つみたて 投資枠 | 成長 投資枠 | ||
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 | |||
制度の実施期間 | 2042年まで ※新規買付は 2023年まで | 2023年まで | 2024年から恒久化 | ||
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 | 無期限 | ||
制度の併用 | 不可 | 可能 | |||
年間 非課税枠 | 合計枠 | ー | 360万円 | ||
各枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 | |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円 └うち成長投資枠1,200万円 ※資産を売却した場合、取得価額分の非課税保有限度額が翌年復活する | ||
買付方法 | 積立 | 積立・一括※1 | 積立 | 積立・一括 | |
投資対象商品 | 投資信託※2 | 上場株式・ 投資信託・ ETF・REIT | 投資信託※3 | 上場株式・ 投資信託など ※4 | |
ロールオーバー (移管) | ー | 可能 | 不要 | ||
2023年末までに現行NISA(つみたて・一般)で投資した商品は、新NISAの外枠で現在のNISA非課税措置が適用される。 |
※1 積立「定期的に一定金額で購入する方法」一括「一度のタイミング・まとまった金額で購入する方法」
※2 長期・積立・分散投資に適した一定のもの
※3 積立・分散投資に適した一定の投資信託。つみたてNISAの商品と同様
※4 ①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投資信託等を除外
・金融機関の変更をしない場合、NISA口座は自動的に移行
・金融機関の変更をする場合、NISA口座の手続きが必要
・現行NISAの資産は売却せずに持ち続ける
・非課税で投資できる金額が上がったからといって、ムリに投資をしない